『食糧人類-Starving Anonymous-』は、イナベカズ先生漫画、蔵石ユウ先生原作、水谷健吾先生原案の、品種改良され食用として提供される人類を描くサイコホラーです。
高校生の伊江(いえ)は、親友のカズと一緒にバスに乗ったところで眠気に襲われます。次に伊江が目を覚ました場所はなんと人間の解体工場。そこでは、冷凍されてカチコチになった肥満人間がぶつ切りにされて運ばれていたのです。
謎の液体で肥満する人類
伊江が連れていかれたのは、うす暗い部屋でした。そこでは恐ろしく肥満した人間たちが、無我夢中になってチューブから液体を飲んでいました。その中に一緒にバスに乗っていたカズの姿を発見する伊江。しかし、カズはチューブから出てくる謎の液体の中毒となっており、体型も急激に増え始めていました。
【160万部の問題作】食物連鎖パニックホラー
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「うまいからお前も飲め」と伊江を誘うカズの目は、完全にイっちゃってます。思考力も低下したカズは、液体を求めるだけの生き物と化してしまったのです。
まともな人間がほとんどいない
伊江はその後、体が再生する青年・ナツネ、中性的な見た目で知的好奇心の旺盛な山引、施設の天井裏に隠れ続けたルポライターの小倉に出会います。
「食糧人類」フランス語版が届いた😎
「コンセプトオリジナル 水谷健吾」
カッコイイ!!! pic.twitter.com/qFGwPYbkeE— 水谷健吾@脚本家 (@mizutanikeng) November 27, 2018
身体能力が高すぎるナツネに、なんにでも性的興奮を覚える山引、絵の中の女性の存在を信じる小倉と、施設内で伊江が出会う人物たちは、どこか人間の平均値を逸脱しているような人物ばかり。彼らは私たちと同じ「ヒト」なのでしょうか。
食料ではなく食糧
『食糧人類』というタイトルを改めて考えてみると、食料ではなく食糧という漢字が使われています。食料というのは食べ物、という以外に主食以外のものを指すことが多く、食糧と書かれる場合は、主食とされる食物のことを指すことが多いです。
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拉致された伊江たちが連れてこられた施設は、人間が食糧のように生産・加工されている場所でした。物語の冒頭で伊江はファーストフード店でチキンナゲットをおいしそうに食べているのですが、これらの加工肉の出所はどこなのでしょうか。また、人間を主食としている生物がいるとしたら、それはどこから来て、どこにいるのかが気になり始めます。
人間の品種改良
7巻完結という短めの作品ですが、ストーリー展開によって人間の定義が次々に揺さぶられていきます。別の動物種との融合、無限の繁殖、そして驚異の再生能力。このような研究を行わなければならない理由が、人間側にもあったのです。
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生物濃縮と呼ばれる言葉がありますが、これはある生物が持っていた毒素などの物質が体から排泄されずに、食物連鎖の上位の捕食者にたまっていく現象のことを言います。たとえば、なんらかの毒素をもつプランクトンを魚が食べて、その魚を人間が食べた場合に、食物連鎖の上にいる人間に一番毒がたまるというのがこの現象です。
そもそも、何かを食べるということは、その食べ物が持っている物質を引き受けるということ。自分で食べ物を探す必要がなくなった私たちは、もしかしたら知らぬまに、知っている食べ物ではない何かを口にさせられているのかもしれませんね。
まるまる太ってくれてありがとう、おいしそうだね
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